2YEARS TRAINING

研修医の2年間

急性期病院でのマネジメント力+医師としてのプロフェッショナリズム

当院の初期臨床研修で身につけて欲しい2大スキルは、救急での初期対応から入院管理、退院調整までの一連の流れを主体的に管理できる「急性期病院でのマネジメント力」と、医師として患者さん、ご家族、同じ医療現場で働く医療スタッフや指導医から頼れる存在であり、なおかつ話しかけやすい存在となれる「プロフェッショナリズム」です。

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研修医1年目

医療機関の仕組みを知り、救急外来デビュー。診断や治療を1人で完結できるように学びを深めていきます。

4月医療機関の仕組みを知る

1年目は、先ず救急外来や病棟の運用など医療機関の仕組みを覚えることから始まります。この時期のレクチャーは、指導医だけでなく多職種からもレクチャーをしていただく機会を設けています。病院で関わる様々な職種と関わる機会を作ることでスムーズに医療現場に慣れてもらうように工夫をしています。

  • 電子カルテの使い方
  • 病棟での指示出し
  • 採血、点滴ルート挿入方法
  • コメディカルの役割を知る

など20のレクチャー

レクチャー

  • 指導医
  • 多職種
    • 看護師
    • 放射線技師
    • ME
    • 検査技師
    • セラピスト
    • 医療事務
    • システムエンジニア
    • 総務課
  • Point1多職種からレクチャーを受けることは、研修期間中に困ったことが生じた際、研修医たちが誰に相談するべきかをイメージできることにも繋がっています!
  • Point2採血や血液ガスなどの基本手技は、病棟だけではなく救急外来で働くためには必要な基本手技ですので、毎年4−5月の2ヶ月間は平日の毎朝、看護師さんと指導医のサポートを受けながら病棟患者さんの採血実習を繰り返し行います。

6月救急外来デビュー

1年目の6月になると、いよいよ日・当直医として救急外来にデビューすることになります。1年目が救急外来に入る際は、2年目研 修医、指導医との屋根瓦制度を敷き、すぐに相談できる状況下で救急外来に来られた患者さんの診察に当たります。

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  • 酸素療法の使い方
  • 気管挿管の仕方
  • グラム染色の仕方
  • 抗菌薬の選択方法

など、基本的知識や手技が中心のレクチャー・ハンズオン勉強会を開催

  • Point基本的知識・手技を習得していただくことで、救急外来や病棟管理で立ち尽くすことがないように、少しずつ自分のできることを増やしていく努力を続けていただきます!

10月〜診断や治療を1人で完結できるように

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1年目の10月以降の下半期は、1年目研修医も2年目研修医や指導医の監視下で、救急外来や病棟患者さんの診断や治療を主体的に進めてもらい、1人で完結できる経験を増やしていきます。各疾患に対して診断・治療を繰り返し経験することで、疾患のイメージを描くことができます。研修医にとっては、一度は経験したことがある疾患を増やしていく時期になります。

  • 心臓超音波の評価
  • 脳卒中の診断と治療
  • 誤嚥性肺炎の管理
  • めまいの初期対応
  • 低ナトリウム血症の鑑別と治療
  • 創部の縫合実習
  • など、より実践的な内容の勉強会を実施
  • Point採血や点滴ルートの確保などの基本手技ができ始める頃ですので、各疾患に対応できる検査手技(超音波、中心静脈、PICC、人工呼吸器管理)を増やし、多くの疾患を経験してもらいます。1年目の下半期は、研修医の基礎力を養う大切な時期ですので、診断から治療までを完結する機会を増やしています。

11月2年目のスケジュール調整

1年目の11月になると、各自が志望科を見据えた2年目の研修スケジュール案を研修委員会に提出します。2年目研修スケジュールは翌年1月中旬までに決定することになります。

なかなか自分の将来像が定まらないという方には → 研修委員会がサポート!

  • 興味のある診療科の医師との面談設定
  • 県内外の研修病院の見学の斡旋
  • キャリア支援
  • Point研修委員会では研修医の皆さんの将来像を探していくお手伝いをしています。この時期に限らず、2年間継続的に支援していきますので沢山頼ってください!

1年目後半~研修医同士で学び合い

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1年目の後半は、翌年から入る新研修医に指導できるように、研修医同士で不足している知識や技術を学び合う光景が毎年見られます。2年目研修医になると、救急初期対応を行うための知識や技術の習得はもちろんのこと、救急センターの全体の状況を確認しながら、何を優先して行うべきかの判断を求められるので、その状況判断を2年目研修医や指導医から教えてもらう時期でもあります。

  • Pointこの時期は研修医同士で学び合う学習環境づくりが大切になります。個々で学ぶことには限界がありますが、学び合う環境づくりを研修医同士で構築することで成長曲線は劇的に変化します。毎年の研修医のカラーにもよりますが、指導医からの学びだけではなく、お互い学び合うことを意識して2年目に上がる準備をして下さい。

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研修医2年目

院内外の研修を通して中間指導医的な立場でのサポートを学び、進路に向けて活動を行っていきます。

4月
〜6月
院内研修・院外研修を実施

2年目研修医になると、1年目研修医がスムーズに病棟管理または救急外来を行えるように中間指導医的な立場で後輩をサポートします。採血、点滴ルートの確保、血液がすの採取と評価方法、病棟業務など研修医1年目が順調にスタートを切れるために、研修医室や病棟で1年目にアドバイスを行う姿をよく見かけます。

  • PointResidents as a teachers. という言葉とおり、2年目研修医になると1年目を教えながら自分の知識や技術で足りてない部分を補足していく時期になります。この時期は、分かりやすく伝える能力、教科書やUpToDateを使っての問題解決能力が求められます。自分で調べて解決する能力を身につけることができると、1年目の指導力も格段に上がってきます。

6月頃には院外研修も実施します。院外研修は当院に設置されていない小児科・産婦人科・精神科・地域医療研修となります。当院の近くに位置する山口大学医学部附属病院で研修を行ったり、市中病院を希望する方は近隣の病院で研修を行います。

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夏頃〜進路を決める時期

2年目研修医は夏頃までに志望科の研修を終え、県内外で気になる就職先があれば研修の合間に病院見学に足を運ぶなど、3年目以降の進路を決めます。7月頃には、指導医から推薦状を作成してもらったり、面接試験の練習を行うこともあります。これまでの研修生活で、どういった立ち振る舞いをしてきたかが試される時期でもあります。

研修委員会が就活も
サポートします!

  • 面接試験の練習
  • 推薦状の作成

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  • Point推薦状を作成する際に研修医に求められる実績は、研修期間中の医学的知識や技術の習得状況はもちろん、院内での立ち振る舞い、メディカルスタッフからの評判、後輩への指導実績、学会発表や論文作成の有無、病院献への寄与度などがあります。知識や技術だけではなく、医師としての態度面の成長が重要です。

研修後の進路

当院の研修医は、研修修了後に大学医局に入局する方も多いですが、県外の市中病院で研鑽を積む方も多く、その際に求められる能力が「急性期病院でのマネジメント力」だけではなく、医師としての「プロフェッショナリズム」になります。

医師としてのプロフェッショナリズム

臨床能力

  • 患者さん・家族・医療スタッフとのコミュニケーション能力
  • 倫理的理解
  • 利他主義
  • 人間性

プロフェッショナリズムには上記のような要素が含まれます。

研修医2年目になるとできることが多くなり、つい自分の能力を過剰評価してしまい傲慢な態度をとってしまったり、他者批判を口に出てしまうなど「若気の至り」に陥ってしまう研修医もいます。私たち指導医もそのような時期を経て、痛い目に逢った後に謙虚さを育んだのかもしれませんが、2年目研修医の先生には、そのような浅はかさに陥ることなく、研修医としての規範・ロールモデルとして研修医1年目や院内スタッフに接することが、私たちの指導医が望むべき姿です。

  • Point研修委員会としては医学的知識や技術だけではなく、医師としての人格形成の第一歩となる初期研修期間に「プロフェッショナリズムの涵養」を特に重視して成長をサポートしています。

当プログラムは、多すぎない人数を手厚く指導することが長所といえます。そのため、2年間を通して見学研修にはなり得ません。主体的な研修を希望し、2年 間の研修を通じて平均以上の臨床能力を身につけ、どの科を選択しても通用する基礎力を身につけたい人は、是非とも一緒に学びましょう。

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